作品鑑賞のポイント


鑑賞とは作品と観者との交流です。造形芸術と言われる書も見て楽しむもので、鑑賞芸術といわれます。前衛書も見てそれだけで楽しめることが本筋ですが、多くの人達は前衛書を見て「わからない」と言い、「何が書いてあるか」を知ろうとします。前衛書の鑑賞は作品の美を見ることであり、何が書いてあるかを知ることではないのです。作品の中の美を見てほしいのです。

美を感じる大きな要素には、「構造の美」や「流動の美」があります。そしてその二つを踏まえて総合的に生まれてくる「品格の美」があります。それは人間の総量の表現であり、人間の生きる姿の現れといわれています。作品の中から感じ取ってみてください。

要は人間の営みの中で、作品を媒体として楽しい一刻を過ごし、自己を充実させることができればいいのです。

 

参考資料:「入門書道講座6『前衛書』 宇野雪村著 実業之日本社刊」・「毎日書道講座11『前衛書』 岸本太郎著 毎日新聞社刊」